要約:
全世界の各国データで、物価上昇率(2000-2009年の平均値)と、人口増加率(2000-2009年の平均値)との相関を見ると、
物価上昇率(インフレ率)と、14歳以下、15-64歳、65歳以上の人口増加率はどれも無相関。
全世界の各国データで、物価上昇率(2000-2009年の平均値)と、人口増加率(2000-2009年の平均値)との相関を見ると、
物価上昇率(インフレ率)と、14歳以下、15-64歳、65歳以上の人口増加率はどれも無相関。
前回の記事「生産年齢人口が減るとデフレになる?」に対するブックマークコメントで、
生産年齢人口との相関を見るなら「人口増加率」「生産人口比率」それぞれとではなくって「人口増加率×生産人口比率」との相関をみるべきなんじゃないの(doroyamada氏)
とのコメントをいただきました。
これをうけて今回は、14歳以下、15-64歳、65歳以上のそれぞれの人口の増加率が、物価上昇率と相関があるかどうかを見てみようと思います。
今回必要なデータは、
- 物価上昇率
- 14歳以下、15-64歳、65歳以上それぞれの人口増加率
ですが、worldbankのデータベースにあるデータは、
- Inflation, consumer prices (annual %)
- Inflation, GDP deflator (annual %)
- Population ages 0-14 (% of total)
- Population ages 15-64 (% of total)
- Population ages 65 and above (% of total)
- Population growth (annual %)
まず、コメントにあった、15-64歳人口の増加率を最初に求めましょう。
15-64歳人口の対前年増加率は以下の通りです。
[ [当年の総人口] × (当年の15-64歳人口比率) - [前年の総人口] × [前年の15-64歳人口比率] ]/ (前年の総人口 × [前年の15-64歳人口比率])
ここで、人口をN、人口成長率をn、15-64歳人口が総人口に占める割合をr とおくと、
[N × (1+n) × (r + Δr) - N × r] / (N × r) = [(1+n)(r+Δr)]/r - 1
と表せます( Δr は r の前年差です )。これを変形すると
n + ( 1+n ) Δr / r
つまり、[15-64歳の人口増加率] は、
[総人口増加率] + [1+総人口増加率] × [15-64歳の人口比率の変化率]
で表すことができます。14歳以下、65歳以上の人口増加率も同様にして求めることができます。
今回は、各国の
- 各年代の人口増加率の2000年-2009年の各国平均値
- 物価上昇率の2000年-2009年の各国平均値
なお、前回の記事と同じく、過去2000-2009年の間に一つもデータがない項目がある国は、計算から除外しています。
計算と散布図のプロットには、R(http://cran.r-project.org/)を使用しました。コードはこちらです。
計算後の値(15-64歳人口増加率)と、物価上昇率の散布図は、以下のようになりました。相関係数は+0.0941。
同様にして、14歳以下人口増加率を求め、物価上昇率との散布図をプロットしました。相関係数は+0.0987。
同じく、65歳以上人口増加率と物価上昇率の散布図。相関係数は+0.0934。
以上から、14歳以下、15-64歳、65歳以上のどの年代の人口成長率も、物価上昇率との相関係数は0.09-0.1程度であり、相関がないことが分かります。
付
「同じデータ使ってるんじゃないの」とか言われそうなので、Rで相関係数を出力したところをプリントスクリーンした画像を下に貼っておきます。
各年令の人口増加率が、全体の人口増加率と非常に高い相関であることが分かります。
ちなみに、画像中の変数名は以下の通りです。
- m_inflation : 物価上昇率 (消費者物価) (年変化率 %)
- m_deflator : 物価上昇率 (GDP deflator) (年変化率 %)
- m_pop_growth : 総人口増加率 (年変化率 %)
- m_pop_u14_growth : 14歳以下人口増加率 (年変化率 %)
- m_pop_15_64_growth : 15-64歳人口増加率 (年変化率 %)
- m_pop_o65_growth : 65歳以上増加率 (年変化率 %)
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