2010年11月7日日曜日

「潜在成長率の低下でデフレ」はデータに反する

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OECDのデータ(1979-2008)を用い、国別に潜在GDP成長率とインフレ率との相関係数を計算し、相関係数の検定を行った。結果、潜在GDP成長率とインフレ率との間に正の相関がある国と、負の相関がある国は、ほぼ同数になった。このことから分かるのは、「潜在GDP成長率とインフレ率との間には一定の関係はない」---「潜在GDP成長率の低下がデフレをもたらす」という主張は、現実のデータに反している---ということだ。
「潜在成長率の低下がデフレをもたらす」という主張がなされることがある。はたして、これは本当だろうか。

もしこの主張が本当なら、少なくとも、各国ごとにデータを見た際、潜在GDP成長率と物価変化率との間に高い負の相関がある国は、高い正の相関がある国に比べ、ごく少数しか存在しないことになる。


当記事では、以下の手順を踏み、「潜在GDP成長率の下落がデフレをもたらす」という主張を検証する:
  1. OECDの年次データを用いて、各国ごとに潜在GDP成長率と物価変化率との相関係数を算出した後、
  2. 各国の相関係数について検定を行い、
  3. 有意となった相関係数の符号ごとの数を数える:プラスが-個、マイナスが-個、といった具合に。
  4. この時、プラスの数が多く、マイナスの個数が少ないならば、「潜在成長率の停滞とデフレには関係がある」ことは否定できないことになる。

それでは検証に移ろう。

[Rcode]潜在GDP成長率とインフレ率...

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潜在GDP成長率とインフレ率には相関があるか?に使用したRのコードです。

2010年11月1日月曜日

[経済]失われたGDP

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名目GDP成長率のトレンドを見ると、1984-90年では6%だった一方、90年代以降は0.12%と、ほぼゼロ成長となっている。仮に1992年以降も名目GDPが6%成長が続いた状態と比較すれば、日本は92年以来、GDPの総額は 約6800兆円も損をしていることになる。日本人口を1.2億人とすれば、一人当たりで約5700万円のGDP(=所得)が失われた計算になる。

2010年10月19日火曜日

[Data]名目・実質実効為替レートのグラフ&Rコード

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いちいちBISサイトから実効為替レートのデータをDLするのも面倒なので、BISからのデータダウンロード -> グラフ描画をするコードを書きました。よろしければ自己責任でどうぞ。
R(http://cran.r-project.org/)で動作します。

始期、基準年はソースの最初の方を変更すれば変更できます

名目実効為替レート(2008/09を1としてあります)
※数値が高いほど通貨高であることを表します
コードはこちら


実質実効為替レート(2008/09を1としてあります)
コードはこちら

[Rcode]実質実効為替レートのグラフ

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実質実効為替レートのデータダウンロード->グラフ描画のコードです。

[RCode]名目実効為替レートのグラフ

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名目実効為替レートのデータダウンロード->グラフ描画のコードです。

2010年10月14日木曜日

Rcode_20101014_2

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2010/10/14,「生産年齢人口が減るとデフレ? その2」に使用したコードです。

生産年齢人口が減るとデフレ? その2

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要約:
全世界の各国データで、物価上昇率(2000-2009年の平均値)と、人口増加率(2000-2009年の平均値)との相関を見ると、
物価上昇率(インフレ率)と、14歳以下、15-64歳、65歳以上の人口増加率はどれも無相関。


前回の記事「生産年齢人口が減るとデフレになる?」に対するブックマークコメントで、

生産年齢人口との相関を見るなら「人口増加率」「生産人口比率」それぞれとではなくって「人口増加率×生産人口比率」との相関をみるべきなんじゃないの(doroyamada氏)

とのコメントをいただきました。
これをうけて今回は、14歳以下、15-64歳、65歳以上のそれぞれの人口の増加率が、物価上昇率と相関があるかどうかを見てみようと思います。

Rcode_20101014

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記事「生産年齢人口が減るとデフレになる?」に使用したRのコードです。

生産年齢人口が減るとデフレになる?

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[追記(2010/10/14):生産年齢人口が減るとデフレ? その2を投稿しました]
要約:
通貨・準通貨増加率と物価上昇率の間には高い相関がある。
一方、人口増加率、15-64歳人口比率の変化は、物価上昇率とは無相関。

@YoichiTakahashi氏のTweet
デフレは人口減少のためだと信じ込んでいる人がいる。最近10年間の人口増加率平均と物価上昇率平均を世界各国で散布図を作って見る。通貨増加率平均と物価上昇率平均も作って見る。世銀サイトで小一時間でできる。前者は無相関、後者は正の相関なので、冒頭の誤解がなくなる。
http://twitter.com/#!/YoichiTakahashi/status/26993801691
何とかさんの反論でなく、学生への課題でやってみただけです。世銀データがただで使えてエクセルの勉強になるのは素晴らしい。そのオマケに反論になるなら、さらにいい。ついでに課題ネタですが、非生産人口比率の増減も無相関です。それも反論になるなら、どうぞ。
http://twitter.com/#!/YoichiTakahashi/status/27203549840

が気になったので、世界銀行Databank(http://data.worldbank.org/)のデータを使って相関係数を出してみました。

2010年9月16日木曜日

デフレと円高の関係

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デフレと円高の関係について

  1. 他国はインフレなのに日本だけデフレだったり、

  2. 他国が貨幣量を増やした時に日本だけ貨幣量を増やさなかったり

  3. 他国で金利が下がったのに日本だけ金利を下げなかったり


すると、「円高」になります。
政策で動かせるのは、

  1. 貨幣量

  2. 金利


の2つで、これらを動かすことで円高を回避できますよーということでひとつ。

2010年9月8日水曜日

財政の維持可能条件-(ドーマー条件)

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財政が維持可能かどうかの条件として、ドーマー条件が良く挙げられます。
ドーマー条件とは、
「【(名目利子率)より(名目GDP成長率)のほうが大きい】ならば、
長期的には国の債務額がGDPと比べて非常に小さくなる(=財政が維持可能である)」

以上の【】内、【(名目利子率)より(名目GDP成長率)のほうが大きい】ことを指します。
以下、数式を記述しつつ、ドーマー条件を求めてみます。*1

2010年6月27日日曜日

数式読み方とTeXコード

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以前、私がこのtweetで紹介した英語での数式の読み方一覧がリンク切れになっていたので、テスト投稿代わりに、英語での四則演算とべき乗の読み方、ついでにTeXコードをまとめました。
追記:リンク生きてます。失礼しました
上智大学理工学部現代GP推進委員会[2008],"How to Read Figures, Mathematical Expressions and Equations,and Glossary"