2011年8月7日日曜日

2年物国債金利差と円/ドルレート

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期間を長くとると、2年物国債金利差と円/ドルレートとは、相関がないことがわかる

白川総裁曰く:
(問(記者)) 今回の措置の効果の波及経路についてお伺いします。円高によるマインドの下振れを防ぐことが今のご説明で分かったのですが、長めの金利に働きかけて為替に影響を与える意図があるか否かという点をお聞かせ下さい。
(答(白川)) 為替相場は、もちろん金利差だけで決まるわけではありませんが、金利差という面からのご質問だと理解しました。例えば、日米で考えた場合、どの期間の金利差が最も為替相場に影響するかについては、なかなか先験的には言えないと思います。 ただ、マーケットのアナリストのコメントをみていると、2 年物の日米の金利差に着目した分析が多いように思います。なぜそういう分析が多いのかという点について、以前、期間別に内外金利差と円・ドル相場の関係を分析したことがあります。結果的には、2 年程度の内外金利差の説明力が相対的に高いという結論になりました。だから 2 年だということではありませんが、現在私どもが基金で行っている方法論は、金利面を通じてそうした影響もあり得ると思っています。

「2年物国債の日米金利差と円/ドル為替レートはどういう関係があるか?」ということで、今回は2年物国債の日米金利差と円/ドル為替レートの相関を見ていきます。

使用するのは以下のデータです。

使用したデータ(Google Docs)

期間を2003年1月〜2011年7月として、2年物国債の日米金利差と円/ドル為替レートの相関係数をとってみると、-0.789となります。これはずいぶんと高い数値です。一見「相関が高い」と言ってしまいそうになります。


図1.2年物国債金利差と円/ドルレート。この期間では金利差と為替が逆方向に動いており、
負の相関があるように見える(相関係数=-0.789)

ところがこれ、期間を長くとると、相関がないことがわかるのです。
期間を1990年1月~2011年7月とすると、相関係数は-0.0197となります。これは「相関がない」ということを意味します
図を見ると分かるのですが、金利差と為替レートは同方向に動く期間もあれば逆方向に動く期間もある、というのが実際のところです。

図2.図1(2年物国債金利差と円/ドルレート)を1990年から取った図。
相関は無い(相関係数=-0.0197)

「金利差と為替レートは同方向に動く期間もあれば逆方向に動く期間もある」ということは、期間を選ぶことで相関係数をプラスにもマイナスにも「することができる」んですね。例えば2000年1月~2004年12月で相関係数を計算すると、+0.443となったりするのです。

為替相場は、もちろん金利差だけで決まるわけではありませんというのはその通りだと思います。白川総裁ご自身が30年前に書かれた論文にも「為替レートについてはマネタリーアプローチで充分説明できる」という論がありますしね。

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