池田良夫(1996)『エルゴノミックス (生産管理 理論と実践)』pp.156〜158に、作業姿勢の設定という題目でデスク周りの環境構築についての記載がある。作業台上のモノを置く範囲や椅子への要求事項が具体的な数値で記載されており、職場だけでなく家庭においても新規で椅子・机を購入する際の参考になる記述であると思う。以下箇条書きの形で書きだしていく。
作業姿勢について
作業姿勢には
- 椅座位(椅子に座った状態)
- 立位
- 椅座位・立位併用
椅座位の採用が望ましい作業
- 全ての作業が腰掛けた状態で進行する作業
- 全ての作業が作業台上の作業であり、作業者の体から15cm以内で完結する作業
- 取扱物の重量4.5kgが未満である作業
- 細かい作業・事務作業が大半の作業
椅座位の作業環境
- 作業面での工具・ものの配置は、胴体の中有心から前方25cm、左右各41cm以内
- 頻繁に扱うものについては、作業台上の15cm〜36cmに配置
- 軽作業の場合、作業台高さは肘の高さを目安にする。精密作業では高めにし、重筋作業では低めにする
- 椅子は肘掛必須
- 背もたれは腰椎部を支持すること。特に第四第五腰椎を支持する構造であること
- 背もたれ角は10〜30度で調整可能であること
- 座面高は下腿長よりやや低めに調整可能であること
- 座面曲面は最小限であること
- 座面-背もたれ角は95〜120度で調整可能であること
- 背もたれ使用不可の場合、座面はやや前かがみ、座面高はやや高めに調整可能であること
立位が望ましい作業
- 作業スペースに膝を収容する場所がない場合
- 重量4.5kg以上のモノを扱う作業
- 上下・前方に遠いリーチを伴うところで作業が発生する
- ワークステーション間の移動が多い
立位の作業環境
- 視野良好であること
- 背伸び・前かがみが発生しないこと
- 作業対象への15cm〜46cmのリーチ範囲で作業ができること
- 作業面高さ目安は床面から105cmを目安にする。左右・下方の動作を伴う場合は76〜91cm程度、上方への動作の場合は80cm程度
椅座位・立位併用を採るのが望ましい作業
- 作業中作業者から41cm超のリーチが多く起こる
- 作業台から15cm超離れる作業が発生する
椅座位・立位併用時の作業環境
- 立ちやすいよう立椅子を使用する
- 作業台は、作業者が立位時に前かがみにならない程度の高さにする(床面からおよそ90〜120cm)
以上が池田(1996)記載の作業姿勢の選定条件と、作業姿勢を作る際の留意点である。なお、各数値、特に作業台の高さに関しては人によって変動してくるため、調整可能な物を選ぶのが望ましいとのこと。
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