- 国債の日銀引受は、国会の議決を経れば現行法でも可能
- 実際、国債の日銀引受は毎年行われている
- 2005年には日銀引き受け額は最多の23兆円に達したが、長期金利・インフレ率(GDPデフレータ)の急上昇は起こらなかった。
- GDPデフレータは2005-2007年とプラス方向に動いているが、それでもマイナスのまま(0以下)であり、ハイパーインフレどころかデフレが続いていた。
- 2011年度の日銀引き受け予定は11.8兆円(2010/12/24時点)
- 以上のことを踏まえると、復興国債の日銀引き受け→即ハイパーインフレ、という主張は説得力が無い。
- むしろインフレ率がプラス方向に動くのだから、復興国債の日銀引き受けは推奨するべきではないか
言いたいことは上ですべて言いました。以下は詳細です。
国債の日銀引受は、国会の議決を経れば現行法でも可能
財政法第5条には、以下のように記載されています。財政法第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。つまり、公債の日銀引き受けは、国会の議決を経た上でならば、現行法でも可能となっています。
日本銀行法にも、日本銀行のの業務のひとつとして、「国会の議決を経た上での公債の引き受け」が挙げられています。(日本銀行法第34条3)
日本銀行法第三十四条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、前条第一項に規定する業務のほか、国との間で次に掲げる業務を行うことができる。
(略)
三 財政法第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において行う国債の応募又は引受け
日銀は国債を毎年引き受けている
日銀直接引き受けは通貨の信認を損ないハイパーインフレとなるのか - keiseisaiminの日記
上記サイトで指摘されている通り、日本銀行は、国債を毎年引き受けています。数値はこちら (財務省-国債管理政策 )で公表されています。
日銀国債引き受け高と、長期国債金利、それとインフレ率としてGDPデフレータ変化率をプロットしてみましょう。
※プロットに使用したデータはこちら(google docs)です。
国債の日銀引き受け額は、2004年には13.2兆円、2005年には最多の23兆円、2006年には16.5兆円となっていますが、グラフからわかるとおり、その期間は、長期金利・インフレ率(GDPデフレータ)の急上昇は起こらなかったことがわかります。特にGDPデフレータ変化率(インフレ率)は、わずかにプラスに動いているとはいえマイナスのままであり、ハイパーインフレになるどころか、デフレであったことがわかります。
復興国債の日銀引き受けを推奨すべし
2011年度の日銀引き受け予定は11.8兆円(2010/12/24時点)であることを踏まえると、日銀の国債引き受けの余地は十分すぎるほどあるのではないでしょうか。各所では「(予定を追加して)復興国債を日銀引受すれば、即、金利が急騰する」「…即、『通貨の信認』を失って”高い”インフレになる」と騒ぎ立てていますが[ここやここなど]、そのようにはならないでしょう。
むしろ、現在はデフレであることが問題なのだから、インフレ率をプラス方向に動かす復興国債の日銀引き受けは、推奨するべきではないでしょうか。
データ出所
- 日銀引受(乗換)額:財務省-国債管理政策
- 長期国債(10年)金利(※新発債流通利回):日本銀行『金融経済統計月報』
- GDPデフレータ変化率:内閣府 国民経済計算
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